アメリカのバナナ

アメリカのバナナについて、話をしよう。

学部でボストンに移って大学のカファテリアでの食事が中心になってから、バナナをよく食べるようになった。というのも、大学の食堂には野菜を「調理する」という概念がないらしく、頑張っても生野菜のサラダくらいしか提供されないので、果物はビタミンと食物繊維の貴重な摂取源だからだ。特に、朝は調理された何かが提供されることすらなく、高々と積まれたりんごとバナナの他にはトースターが1つ置いてあるだけなので、必然的に2つの果物のうちどちらかを食べることになる。りんごはとても栄養価の高い果物なのだが、日本のりんごとは味がだいぶ違って毎日食べられるものではないので、バナナをよく手に取って食堂を出る。

そうしているうちに気づいたのだが、アメリカのバナナは皮を上からむくことができない。日本で買うバナナは、植物本体と繋がっていたであろう頭の部分を持って横に倒すと、皮の一部がそれにひきづられて自然に可食部が姿を表す。ところが、アメリカのバナナでこれをやろうとしても、頭が全方向で皮と硬く繋がっていて、そもそも横に倒すことすらできない。そこで、友人曰く、アメリカではバナナは下からむかなければならない。すなわち、バナナのお尻の、かつて花があったであろう黒くなっている部分を無理やり剥がして実を露出させ、皮をむいていくのである。

今はネットを通じて海外の生活などについての情報が簡単に手に入るので、渡米したときもそこまでカルチャーショックと認識できるものはなかったが、これだけは驚きであった。